枚方法律事務所

<トップページ>
 English
 サイトマップ
 更新履歴
<弁護士の費用>
 費用についての説明
 報酬早見表
< 法 律 相 談 >
 相談をご希望の方へ
 取扱業務一覧
 内容証明郵便
 支払督促
 少額訴訟
 破産・個人再生など
<民事・家事一般>
 民事裁判と刑事裁判
 民事裁判の流れ
 交通事故
 保証人
 離婚  夫婦の財産
 成年後見
 相続    遺言
<労働事件など>
 労働法入門 PDF
派遣労働と女性の権利
 労働者派遣法について
 '12労働契約法改正
 '12派遣法改正
’03労基法派遣法改正
 パート・アルバイト・
 契約社員の労働条件
 成果主義賃金 
 倒産と労働債権
<事務所への道順>
 アクセスMAP
<お問い合わせ>
 Mail to
< リ ン ク集 >
 リンク集

破産・個人再生など


 負債を整理する方法として,自己破産,特定調停,任意整理,個人再生手続があります。それぞれ以下のような特徴があります。 

なお,自己破産・個人再生の項で紹介しているのは,大阪地方裁判所での取扱です。取扱については,裁判所によって,すこし違いがあります。

任意整理

 裁判所を介さずに,債務者が直接,一人一人の債権者と交渉します。特別の条件はありませんが,債権者の合意が得られなければ成立しません。利息制限法による利息の引き直しはできるでしょうが,元本カットは無理と思った方がいいでしょう。任意整理を弁護士に依頼した場合,原則として,債権者1件あたり2万1000円の着手金が必要となります。

特定調停

 簡易裁判所で行う手続です。これも特別の条件はありません。自分で,簡易裁判所に申し立てれば,安い費用で,調停委員が債権者との調整をしてくれます。しかし,債権者の合意が得られなければ成立しませんし,利息の引き直しはあっても,元本カットが難しいのは任意整理と同じです。

自己破産

 支払のできない状態(支払不能)になっていることが申立の条件です。債務者(申立人)に財産があれば,その財産を裁判所の選んだ破産管財人が強制的に金銭に換え(換価),債権者に公平に配当します。その財産もなければ,破産管財人が選任されることもなく直ちに,破産手続は終了します(同時廃止)。

 財産がおおむね数十万円から200万円程度でも,その換価・回収が容易なときは,破産管財人を選ばずに,申立人の代理人が任意に換価して,公平に配当すれば,同時廃止が認められる場合があります。なお,破産管財人が選任される場合は,99万円まで自由財産として破産者の手許に残すことができ,配当に充てる必要がありません。

 財産には,不動産はもちろん,保険金の解約返戻金や借家の保証金も含まれます。また,サラリーマンの場合は破産手続開始決定時に退職したとして受け取ることができる退職金の,8分の1程度を配当に充てる必要があります。

 破産の手続きをとっただけでは,債務は残ったままです。残債務の支払を免れるためには,破産手続開始決定を受けるだけでなく,免責許可の決定を受けなければなりません。裁判所は,次のような事由があれば,免責を許可しません。
1 債権者が害する目的で財産を不当に処分等した。
2 破産手続開始を遅らせる目的で不利益な処分等をした。
3 特定の債権者に有利な弁済等をした。
4 浪費又はギャンブル
5 支払不能と知りつつ債権者をだまして借入,物品購入等をした。
6 帳簿等を隠滅,偽造等した。
7 虚偽の債権者名簿を提出した。
8 裁判所の調査に協力せず又は虚偽の説明をした。
9 不正な手段で破産管財人などの職務を妨害した。
10 免責許可の決定確定もしくは給与所得者等再生における再生計画遂行後7年以内に免責許可を申し立てた。
11 破産法上の義務に違反した。
一方,以下の債権(非免責債権)には,免責の効果が及びませんので,注意して下さい。
1 租税等の請求権
2 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
3 破産者が故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
4 破産者が養育者または扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権
5 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金返還請求権
6 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
7 罰金等の請求権

 破産手続開始決定を受けると,株式会社や有限会社の取締役,その他一定の職業(生命保険外務員,警備員等)につけないという資格制限がありますが,これは免責の許可を受ければ,解消されます。破産したことが,戸籍や住民票に記載されることはありません。

 自己破産申立にかかる費用は,破産管財人を選ぶ必要がない場合,裁判所に納める予納金・切手代等をあわせて,数万円程度です。破産管財人を選ばなければならない場合には,これ以外に債権者数に応じて決められている予納金を納める必要があります。自然人の破産でも法人の破産でも債権者数が100人未満なら最低20万円です。債権者数が100〜199人なら自然人は最低30万円,法人は最低50万円,債権者数が200人以上なら自然人は最低50万円,法人は最低100万円です。

 現在大阪地方裁判所では,申立人が不動産を所有しておらず,負債総額が500万円程度までで,提出資料に不備がなく,弁護士が代理している場合には,申立から数日以内に破産手続開始決定を出す迅速な扱いが行われています。

 破産申立を弁護士に依頼する場合,弁護士の費用は,事案の内容によって異なりますが,最低で21万円(上記迅速な手続を取れる場合)からです。 

個人再生

 支払不能になる以前でも,支払困難(支払不能のおそれ)なら,申し立てできます。また,借金の原因が,ギャンブルや浪費であっても可能です。ただし,負債額が,抵当権で担保された債権や住宅ローンを除いて5000万円以下の場合に限ります。

 小規模事業者や農業従事者等の場合に認められる小規模再生と,給与所得者等の場合に認められる給与所得者等再生があります。いずれの場合も,その負債の内の一定の金額を,3年(ないし5年)間,年4回以上の分割で弁済する計画をたてなければなりません。

 弁済する金額には,最低基準があります。まず,負債が5000万円〜3000万円なら負債の1/10以上,3000万円〜1500万円なら300万円以上,1500万円〜500万円ら負債の1/5以上,500万円〜100万円なら100万円以上,100万円以下なら負債全額を弁済する計画を立てなければなりません。また,弁済額は現在の財産を換価したときに,債権者に配当が予想される額より多くなければなりません。

 小規模再生の場合は,これだけの金額を弁済できる将来の収入の見込みが必要であり,債権者が同意すれば認められます。給与所得者等再生の場合は,給与等定期的収入を得る見込みがあり,かつ,その額の変動の幅が小さいと見込まれる者が申し立てることができます。債権者の同意は不要ですが,可処分所得の2年分以上の額を弁済する計画を立てなければなりません。

 但し,以下の債権(非免責債権)には,免責の効果が及びませんので,注意して下さい。
1 再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
2 再生債務者が故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
3 再生債務者が養育者または扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権
なお,租税等の請求権や雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権は,一般優先債権として再生手続によらず随時弁済されるものですから,非免責債権ではありません。 

 なお,再生計画の履行を怠った時には,再生債権総額の10分の1以上の債権を有している再生債権者は,再生計画の取消を申し立てることができます。取消の決定が確定すると,再生計画によって変更された再生債権者の債権は復活し,延滞利息も加算されます。この場合,裁判所は,破産原因がある(支払不能)と認めるときは,職権で破産手続開始決定をすることができます。もちろん,債務者から自己破産の申立をすることもできます。

 破産手続開始決定が出ると,住宅を維持するために破産ではなく個人再生申立を選び,住宅ローン特別条項を設けたケースでも,住宅を失うことになります。また,借金の原因がギャンブルや浪費のために,破産ではなく個人再生の申立を選択したケースでも,もし免責が許可されなければ,負債は全額残ることになります。債権者が復活した債権を請求する訴訟を起こし,判決に基づいて強制執行をすることもあり得ます。

 このような事態をさけるために,もとの返済計画をさらに2年間延長するよう,再生計画の変更を申し立てる手続が認められています。但し,この申立が認められるのは,再生計画確定後にやむを得ない事情で計画遂行が著しく困難になった場合だけです。たとえば,勤務先の倒産,債務者の病気その他再生計画作成時点では予測することができなかった事情が後に発生し,その事情が発生したことについて,債務者には責任がないと認められることが必要です。また,この計画延長を申し立てることすら困難な状況になり,その状況に至ったことについて債務者に責任がない場合,その時点ですでに総再生債務額の4分の3以上の支払が終わっていれば,残債務の免除を申し立てることができます。裁判所がこの免責申立を認めれば,残債務の支払を免れることができますが(ハードシップ免責),住宅ローンには免責の効果は及びません。住宅ローンについては,契約どおりの返済を続けなければ,競売を申し立てられることになります。

 個人再生の申立にかかる費用は,裁判所に納める予納金,切手代等実費数万円程度が必要です。大阪地方裁判所では,個人再生手続については,どの事件にも,弁護士が申立の代理人になって欲しいという要望を出しています。弁護士に対する着手金は,31万5000円以上です。

 あなたの負債の整理にはどの手段がふさわしいのか,弁護士と十分に相談の上,お決め下さい。

 なお,破産や個人再生を申し立てる際には,裁判所に多くの資料を提出する必要があります。資料を欠いたままでは,申し立てできませんし,そもそもどのような手続きをとればよいのかを,判断できません。できるだけ資料をそろえた上で,相談をお受けください。

ご注意下さい。このホームページで紹介している情報は,あなたへの法的なアドバイスではありません。個別の状況に応じた,法的アドバイスを希望される方は,弁護士による法律相談をお受けになることをお勧めします。
(C)Copyright 枚方法律事務所 2001- All Right Reserved.

上に戻る