遺 言
自分が死んだ後,残された家族が遺産をめぐって争わずにすむよう,遺言書を作成しておくことができます。遺言書には,自筆証書遺言,公正証書遺言,秘密証書遺言などがあります。それぞれ,厳格な要件が必要で,書き方を誤ると無効になってしまいます。しかし,要式さえ整えっていれば,満15才から作成できます。遺言書の作成も弁護士に相談されることをお勧めします。
遺言の方式
@ 自筆証書
遺言者がその全文,日付,氏名を自分で書き,最後に印鑑を押す必要があります。訂正個所があれば,遺言者がその場所を指示し,変更したことを書いて,そこにも特に署名した上,変更した場所に印を押す必要があります。
A 公正証書遺言
証人二人以上の立会いのもと,遺言者が遺言の内容を口頭で述べた内容を公証人が書き取って読み聞かせた上,遺言者,証人,公証人が署名押印することによって,作成します。
B 秘密証書遺言
遺言者が自分で書いた遺言書に署名押印した上,その遺言書を封印します。その後,遺言者が公証人と二人以上の証人に封書を提出して自分の遺言書であること,その筆者の氏名,住所を口頭で述べます。最後に,公証人が証書を提出した日付,遺言者の申述を封紙に記載し,遺言者,証人と共に署名し押印して作成します。
但し,実際に公正証書遺言や秘密証書遺言の作成を希望される場合は,事前に公証役場に連絡をして,必要書類や必要経費などを確認してください。
当事務所の1階上に,枚方公証役場(п@072−841−2325)があります。
また,次の人は,遺言作成の証人になれません。
@ 未成年者
A 禁治産者,準禁治産者
B 推定相続人,受遺者,その配偶者,直系血族
C 公証人の配偶者,四親等内の親族,書記,雇人
遺言の執行
遺言書(公正証書遺言を除く)の保管者,発見した相続人は,その遺言書を家庭裁判所に提出して検認を請求する義務があります。
検認とは,遺言の執行前に遺言書の形式その他の状態を調査確認し,保存を確実にするための一種の形式的な検証手続,もしくは証拠保全手続きと理解されています。遺言の内容の真否や遺言の効力の有無を実質的に判定するものではありません。
相続人が遺言書を隠匿すれば相続能力を失い,5万円以下の過料に処せられます。
遺言の取消
遺言者はいつでも遺言の方式に従って遺言の全部または一部を取り消すことができます。前の遺言と後の遺言が存在する場合は,後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなされます。生前に行った処分が遺言に抵触するときは,抵触する部分については生前の処分で,遺言を取り消したものとみなされます。また,遺言者が故意に遺言書を破棄したときは破棄した部分については遺言を取り消したものとみなされます。
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